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G4013 九大生よ、リーダーになろう
Let’s Be a Leader
授業科目の領域: 人間性領域 (全学教育「人間力、国際力、自立精神をつけよう」との連携科目)
単位数: 2単位
授業方法: 遠隔授業
開講学期及び
地区等:
毎週火曜1限, 13回(9/29〜1/26)
(主)カリフォルニアオフィス
箱崎地区旧工学部本館4番講義室
伊都地区センター1号館1308教室
大橋地区5号館525号室
筑紫地区総理工E棟1階101講義室
担当教員名(所属): 松尾 正人(カリフォルニアオフィス)
岡本 秀穗(高等教育開発推進センター)
TEL: 092-642-4491(岡本 秀穂)
E-mail: matsuo-m@kyudai.jp 松尾 正人(カリフォルニアオフィス)
okamoto@rche.kyushu-u.ac.jp (岡本 秀穂)
キーワード: 自立精神、起業家精神、国際力、人間力
履修条件: 履修に関する詳細な要領は、「履修説明(改訂版)」 を参照のこと。
授業の目的:  イノベーションのメッカであるカルフォルニア・シリコンバレーにある九州大学カルフォルニアオフィスからの遠隔授業で13回にわたるリーダーシップ論の講義を行います。
リーダーシップ論といってもあまりピンとこないかもしれませんが、皆さんがこれから社会に出て行く前にしっかりと考えておかなくてはならない重要な課題なのです。会社に入るとリーダーシップが取れない人は一生他人の指示のもとに仕事をせねばなりませんし評価も上がりません。たとえば、あるプロジェクトを与えられた場合、メンバーの意欲を高め、それぞれが貢献する場を作り、進む方向を示し、方法を考えて、予定通りの時間内に仕上げなければなりません。会社は国立大学卒業生をエリートとみており、   そのようなリーダーシップが取れる学生を求めています。また、通常からそういうことを考えていないと就職活動に際しても迫力のある応答ができません。
 今回は「CEO Show」というタイトルで、CEO(Chief Executive Officer)、すなわち組織のリーダーの方々の意見を聞くことにしました。たとえば、リーダーの方々は以下のようないろいろな問題を乗り越えた経験をお持ちだと思いますので、これらの問題について経験に基づき答えて頂こうというのがこの授業の狙いです。
(1) どうやって組織を活性化させるか
(2) そうやってコミュニケーションを図るか
(3) どうやって決断するか
(4) どうやって会社の利益を継続するか
(5) どうやって新しいビジネスを起こすか
(6) どうやってビジネスの方向を変えるか
(7) どうやってリーダーシップをとるか
(8) どうやって従来のやり方を変えるか、
(9) どうやって国際力を身につけるか、などなど
到達目標:  この講義を通して、学生が論理的思考、コミュニケーション能力、自主的な問題解決能力、独創的な創造的な思考と行動、フレキシブルな思考、などが重要であることを認識すると同時に、それを通して国際的視野を持った組織のリーダーを目指すようになることを期待して います。
授業の進め方:  シリコンバレー及び必要に応じて東京オフィスからの遠隔授業により行います。13回の講義ですが、毎回異なった講師がそれぞれの独自の立場からの視点でお話いただきます。必要によってはビデオを使用することもあります。質疑応答の時間を30分程度予定していますが、ここでの議論への参加が成績評価の重要な一部となります。
授業計画:

 講師陣は日米で組織のリーダーとして活躍され自己の立場を確立されておられるリーダーの方々で、そこに至る経緯と自己実現の歴史を語り、学生が世の中に出てリーダーを目指す時の多くの課題についてお話しいただく予定です。
 授業は毎週火曜日の第一限、8時40分からです。現在決まっている講師については下記のとおりです。その他の講師とその日程については近日中に発表します。

第1回 (9/29) 「この授業の目的と内容、リーダーに必要な国際力」 講義資料 
  松尾正人 九大CAオフィス所長

 松尾正人CAオフィス所長は日本の化学会社の米国駐在員としてNY州とCA州に35年以上在住しています。その間多くの日米ビジネスマンに直接接した経験から、日本のビジネスマンの英語力、国際力の不足を常々感じてこられました。その経験を生かして、九大の後輩のために現在CAオフィス所長としてこの遠隔授業や英語研修、それに加えてQREPというシリコンバレー研修を企画実行しておられます。この授業ではどういう目的でこの授業を企画したか、どんな講師を選んだかについてお話します。その後、常々考えている「リーダーに必要な国際力」の向上についてお話します。


第2回(10/6) 「柔軟な考えと行動がリーダーを育む」
  梶山千里、元九州大学総長、現独立行政法人日本学生支援機構理事長

 梶山さんは皆さんご存知のように、前九州大学総長です。マサチューセッツ州立大学に、学生として2年9ヵ月、ポストドクとして1年2ヵ月滞在しておられました。マサチューセッツ大学でPh.Dを取得され、日本でも九大で博士号を取得されています。専門分野の高分子物理学では、国際的な研究者の一人であり、高分子学会会長やレオロジー学会会長などを歴任してこられました。九大では工学部長から、2001年には総長に就任して、芸工大との統合、大学法人化や伊都キャンパスへの移転という大きな仕事を、持ち前のエネルギーでなし遂げてこられました。現在は(独)日本学生支援機構の理事長として学生への奨学金貸与事業、留学生支援事業と学生生活支援事業を行っておられます。今回は子供のときからの自己の歴史を振り返っていただき、成長過程のご本人の経験を基に、何がリーダーとして役に立ったかをお話しいただきます。


第3回(10/20) 「どうやって会社の利益を継続させるか」
 講義資料1  講義資料2 
 Indu Navar, CEO and Founder, Serus Corporation, Mountain View, CA

 この授業は英語で行いますが、松尾が解説を入れながらインタビュー形式で行います。
Induさんはインドで育ち、兄たちを頼ってアメリカに出てきて一人で考えて仲間を募ってSerusという会社を起業しました。その起業した経緯は面白く参考になります。現在は20人ほどの従業員を使ってビジネス用ソフトの販売を行っています。一人の無力の女性がインドからアメリカに出てきて結婚し、子育てをしながら起業するという経験の中から身につけたリーダーの要件についてお話いただく予定です。


第4回(10/27) 「パロアルト市長からカリフォルニア州議会議員候補へ」 講義資料 
 岸本陽里子、元カルフォリニア州パロアルト市長、州議会議員候補

2年前、岸本さんがパロアルト市長であったころ、一度このリーダーシップ授業をお願いした。そのときにインタビューのために市長室を訪問したことがある。私がちょうどCity Hallのパーキングロットに到着した時に自転車で入ってくる方がいたが、それが岸本市長であった。「日本では運転手つきだと思いますよ」と申し上げたらゲラゲラ笑っておられた。パロアルト市では9人の市会議員の中から互選で市長を選ぶというシステムになっている。岸本さんが市会議員になった経緯を聞いたが、自宅の前の道路の制限速度を上げるという市の提案に反対して、草の根活動で阻止することに成功したのがきっかけである。市民として発言して行動したら、正しいことであれば通るという事に気がついたという。

Palo Altoの市長としての岸本さんのテーマは「Building Green Economy Through Innovation」であった。どういう事かというと、Palo Alto市の使用エネルギーの20%をGreen Energy源から購入することにしたということである。それは多少高いが、風力発電やゴミから出るメタンで発電した電気を指定して使うということである。また、市で使う紙その他の購買品をGreen Purchaseとして再生紙の購入やリサイクルできるものに限る運動もやっている。最近はプラスチックフィルムの買物袋や発泡ポリスチレンを制限する規則を他に先駆けて作っている。パロアルト市は全米でも有数のグリーンシティと言われている。

岸本さんはパロアルト市長を経験したあとも市会議員を続けてこられたが、今年になって州議会議員に立候補して現在選挙活動中である。大学はConnecticut州にあるWeslean大学であるが、大学時代はShyなおとなしい人間であったという。しかし心の中では何かやってやろうとは考えていたらしい。この講義では、日系アメリカ人でShyなおとなしい学生が、どうやって市のリーダーとなり、さらに州議会に出ようとしているのか、という経緯についてお話頂こうと思う。その中からリーダーになる前と後では岸本さんの中で何が違ってきたかについてお話いただきたいと考えている。特に、女子学生へ伝えたいことをぜひ含めてほしいとお願いしてある。さらに、時間があれば岸本さんの草の根活動や環境問題に対する考えを披露していただきたいと考えている。


第5回(11/10) 「NPOにおけるリーダーシップについて」
 Lon Saavedra, CEO, Hakone Foundation(箱根財団), Saratoga, CA

 この授業は英語で行いますが、松尾が解説を入れながらインタビュー形式で行います。
  皆さんはまず英語を真剣に聞いてください。そのあとで松尾の解説を聞いて、自分のヒアリングのレベルの参考にしてください。
  サーベドラさんは長い間NPOにかかわっておられます。ワシントン時代はスミソニアン博物館内にアメリカンインディアン博物館を作る活動に参加し、100億円のプロジェクトを成功させています。一方CAのサラトガという町には95年前に造られた純日本庭園「箱根ガーデン」があります。長い間サラトガ市が保有してきましたが、財政難のため手放すこととなり消滅の危機に瀕しました。その時にパッカード財団が気付き、サーベドラさんを派遣して立て直しさせたのです。彼は必要な資金を集めてきて建物を修理し庭園を保存し、一方ではサラトガ市と交渉して箱根財団に長期のリースをすることを承諾させ現在に至っています。おかげ様で箱根ガーデンは素晴らしく美しい庭園として生まれ変わっています。我々日本人ボランティアグループも10年前からこの支援に参加して、これまでに25万ドルを寄付してきました。
この授業では、NPOにおけるリーダーシップはどんなものかをお話しいただきます。NPO(ゲマインシャフト)は会社や利益団体(ゲゼルシャフト)とは違った運営の仕方があります。その中でどうやってお金を集め、従業員やボランティアに気持ちよく働いてもらうかは大事なことと思います。それは大学内での運動部やグループ活動のリーダーシップに通じるものがあるからです。


第6回(11/17) 「どうやって日本国が世界でリーダーシップをとることが出来るか」(仮題)
 長嶺安政、在サンフランシスコ日本国総領事

 今日は、日本の外交官として世界中で活躍してこられた、在サンフランシスコ日本国総領事の長嶺安政さんをお迎えしています。サンフランシスコは日本ともゆかりが深く、米国ではワシントンに次いで重要な拠点と言われております。そういう方が、昨年、一昨年に続き、九大の学生のためにわざわざサンフランシスコからサンノゼまでおいでいただきお話頂く事を大変ありがたいと思います。長嶺さんは当地でも日本人社会のリーダーとして私どもを引っ張っていただいていますが、大変心の広い方で私ども個人としても気楽にお付き合いいただいております。
 長嶺さんは東大から外務省に入られ、20歳代にイギリスのオックスフォード大学で勉強され、その後条約局を中心にしていろいろな役割を果たして来られています。20年ほど前にワシントンで勤務され、その後インドの公使、ロンドンの公使としての役割を果たされ、幅広い国際経験をお持ちです。北朝鮮やイラクやテロの問題にも取り組まれたと聞いております。
今回は、リーダーシップ授業ということなので枠を広げて、日本国がどうやって世界の中でリーダーシップをとることが出来るのかというようなテーマに付きお考えを伺いたいと思います。ご期待ください。


第7回(11/24)  「どうやってビジネスの方向や従来のやり方を変えるか」 講義資料 
 
井上隆久、トップエッジコンサルティングファーム取締役社長、元ボッシュロムジャパン社長

【この授業は東京オフィスから行います】
 井上さんは大阪外語大を出て、外交官になるつもりだったのを方向転換して、花王に入社しました。そこでスキンケア商品を販売しましたが、マーケティングのポイントを学んで大きく業績を伸ばしました。5年後にアメリカ駐在となり、また違った経験をしましたが、その後リバー社へと転職しヘアケアブランド、さらにブリストルマイヤーズ社に転職しスキンケア製品と一般大衆薬、そしてボッシュロム社に転職しコンタクトレンズや眼科用医療機器の事業に携わりました。最後のボッシュロム社では社長まで昇進しています。その後は自分のコンサルタント会社を興して経営・マーケティング戦略の指導に当たっておられます。
 井上さんの優れているところは何度も転職をしたのですが、それぞれの会社で優れた業績を残していることです。この授業では、なぜ何度も転職をしたのか、転職することで何を得たのか、転職先でどうやって業績を伸ばすことができたのか、などについてお話しいただきたいと思います。その中で井上さんが身に付けたマーケティングの真髄についてお考えを披歴していただく予定です。


第8回(12/1) 「九州大学をどんな大学にしたいか」
 
有川節夫、九州大学総長

【この授業は松尾特任教授が参加して福岡より行います】
  有川総長は九大の第22代目の総長であり、昨年10月に就任された。専門は情報科学、とくに人工知能といわれている。今回は就任1年余の総長にお願いして箱崎よりこの授業を行う。横浜市大生も聴講しているのであまり九大に特化した話にはしたくないが、具体的な行動の中から始めてその人の考えが見えてくるという考えに立てば、九大の話を中心にせざるをえないことは理解してほしい。その中でも日本の大学全体の問題点についても語って頂くことにしたので、それを期待して授業に参加してもらいたい。
 授業は、有川総長が掲げておられる「九大をどんな大学にしたいか」の方策をまず語っていただき、九大独自の、九州芸術工大との合併による効果、伊都キャンパスへの移転の具体的な問題解決法などについて伺う。芸工大との合併を有効に生かす方策は、九大でなくても新しい大学のひとつの方向を示すものであり、横浜市大の皆さんにも考えてほしいテーマである。そのあと、日本の大学一般の課題について語っていただく予定である。


第9回(12/8) 「アメリカで起業−その中で見たリーダーシップ」
 桝本博之、B−Bridge社長

 桝本さんは日本の繊維会社でバイオ試薬のビジネスをやっていたが、問題を感じシリコンバレーに来て再就職したという異色の方である。その後自分の会社(B-Bridge)を作り、中間マージンを排除して日本中にバイオ試薬を販売している。最近は会社の中にウエットラボを作り、それを日本のスタートアップ会社に貸し出すことによってベンチャーの育成をする試みを開始している。数十人の従業員を指導して常に前向きに積極的に生きてこられたので、日本の若い人への注文も多いようである。九大ではQREPをはじめ何度も講師をお願いして学生に感動を与えてもらった。それを今回再現してもらいたいと思っている。数年前、「NHKのど自慢」で日本一になったことがあり、迫力のある歌声には定評がある。


第10回(12/15) 「マイクロリーダーシップの実践」〜誰も知らない宝をどうやって探すのか〜
  海部美知、Enotech Consulting代表

 日本もアメリカも他の先進国も、現在、同じ時代の問題に直面している。戦後の「石油」、90年代の「デジタル技術」がもたらした「不労所得」を食い尽くしてしまい、「次」の富の源泉を探さなければならない、という問題だ。しかし、地図もない、どこにあるのか、そもそもあるのかどうかもわからない宝をどうやって探すのか?シリコンバレーに住む人々は、そんなテーマとは全く関係なく日々の「マイクロリーダーシップ」の実践をコツコツと続けており、そんな中から「次」の時代を拓くものが生まれてくるに違いない、と私は思っている。そういう事例を目にしながら、「マイクロリーダーシップ」はどうやったら実践できるのかについて、私の考えていることをご紹介したいと思う。

推薦図書「パラダイス鎖国―忘れられた大国日本」海部美知著、アスキー新書


第11回(1/12) 休講、課題図書についてのレポート提出

課題図書:「パラダイス鎖国―忘れられた大国・日本」海部美知著
アスキー新書、2008、724円+税


第12回(1/19) 「リーダーになることを恐れるな」(仮題)
 Robert Huang, Chairman, Synnex Corporation, Fremont, CA

Huangさんは、資金を提供して九大のシリコンバレー研修プログラム(QREP)を創設された方で、その後もビジネススクールやアイスホッケーチームなど、九大のためにいろいろな形での資金提供をされておられます。台湾で生まれ、16歳のときに一家で大阪に移住し、九大工学部電子工学を卒業生しました。九大を卒業した後米国に渡りローチェスター大学でさらに電子工学を学び、卒業後はロスにあるソフトウエア会社に就職しました。その会社の仕事をしていて、日本にも駐在しましたがやはりもっと勉強をするべきだと感じてMITのビジネススクールに入りMBAを取得しました。その後はAMDという半導体の会社に入り国際セールスマネージャーとして活躍しましたが、自分の会社を作りたいという思いから1980年に会社設立し、それが現在のSynnexへと進化しています。Synnexは7000億円の売上を誇る国際的な会社で、ハードウエアの製造と情報機器の物流を仕事にしています。この授業ではHuangさんが走ってこられた軌跡を振り返り、その中で「リーダーシップをとることを恐れるな」ということを中心にして会社経営や部下の扱い方など日ごろお考えになっておられることを伺います。


第13回(1/26)  「この授業のまとめ、イノベーションを起こすリーダーシップ」 講義資料 
  松尾正人 九州大学CAオフィス所長

この授業の最後に、これまで色々な方からリーダーシップについてお話を伺ったわけですが、それを振り返って何が重要であったかをもう一度まとめてみたいと思います。それに加えて、最近日本ではイノベーション、つまり技術に限らず社会の仕組みやまわりのことを変えること、が大変難しくなっているように思います。その現状を解析してみたいとおもいます。そのなかで、どうやった日本にイノベーションを起こすことがきるかについて議論してみたいと思います。これからのリーダーは変革ができる人でなければならないというのが講師の信念ですが、それを可能にする条件はなにか、どうやってそれを身につけることができるかを一緒に考えましょう。

成績評価の方法: 出席とレポートの総合点90%、質問議論への参加10%とする。
履修に関する詳細な要領は、「履修説明(改訂版)」 を参照のこと。
教科書・参考書: 各講師によりそのつど紹介する。
学習相談: メールにより学習相談に応じる。